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平和だった(?)冷戦時代

最近、小劇場演劇に関わっていた1980年代当時を思い返しました。


当時の若手劇作家に少なからぬ影響を与えた「ブレードランナー」というSF映画があります。核戦争後の未来社会を描いた、いまもカルト的な人気を誇る作品ですが、「ブレードランナー」にヒントをえた「すべてが終わった後の世界」という舞台を私は何度見たことか。

「平和」な時代だったのだと思います。米ソ対立という奇妙なバランスの上にいた私たちは、実のところ核戦争の脅威をリアルにとらえていなかった。核戦争勃発に本当の危機感をもっていたら、「核戦争後の云々」なんていう物語を見たり、書いたりしなかったはずです。

ならば、演劇が小さな世界を描くようになる時代の方が、危機はより差し迫っているといえるのか?

ここ最近「若者の内向き傾向」がメディアで否定的に報じられています。「お酒を飲まなくなった」とか「クルマをほしがらなくなった」とか、ぜんぜん悪いとは思えないトレンドさえもネガティブに論じられたりする。そりゃ、メーカーは困るでしょうけど。

お正月のNHKの討論番組では、海外旅行をする若者の数が減っている点を指摘し、「日本の若者が世界に目を向けなくなっている」とコメントした人がいました。本当かしら?

私の学生時代あたりから、卒業が決まった後に海外旅行に出る「卒業旅行」が流行りだしたと思います。でも、それで世界に目を開かされたなんて話、あまり聞いたことがありません。

派遣切りなど、むちゃくちゃな雇用情勢が続いているなか、若者を中心に、しっかり地に足につけた生活を送ろう(送りたい)という意識が強くなっているのではないか。

そうであるならば、私はとてもいいことだと思います。

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