読売ジャイアンツはオフの補強でヤクルト・スワローズから、去年、リーグ最多安打を放ったラミレス外野手と最多勝のグライシンガー投手を、横浜ベイスターズからは日本で最速の球を投げる抑えのクルーン投手を獲得しました。
去年、セ・リーグ1位になりながら、クライマックスシリーズで中日ドラゴンズに3連敗して日本シリーズ出場を逃したのがよほど悔しかったのでしょう。「これで勝たなければウソだろ」とジャイアンツの滝鼻オーナーは言ったそうですが、この大型補強は、読売新聞の社主、渡邊恒雄(ナベツネ)氏の強い意向があったことは容易に想像がつきます。
かつて、プロ野球のストが史上初めて行われようとしていたとき、当時、選手会長だった古田捕手を指して「たかが選手が」と言ったのはナベツネ氏でした。スポーツライターの玉木正之氏が常々指摘するように、ナベツネ氏にとって、ジャイアンツは読売新聞の購買数とテレビの巨人戦視聴率をアップさせる道具程度のものなのでしょう。でなければ、生え抜きから明日のスターを育てるのでなく、よそで活躍した選手をかき集めてよしとするはずがありません。
ジャイアンツと同じく東京ドームを本拠にしていた日本ハムファイターズはフランチャイズを札幌に移して大成功しました。また、地元九州の選手を積極的にスカウトするソフトバンク・ホークスは、ローカルテレビ中継の視聴率も常時30%を誇っています。
でもナベツネ氏が目指すのは全国区の人気。北海道から沖縄まで、かつてどこにでも巨人ファンがいるような世の中を目指しているのではないか。
でも、時代は変わりつつあります。「野球は巨人」は、ナベツネ氏が政界を動かすフィクサー的な動きを身につけた政治部記者時代から冷戦後の数年くらいまでのことです。
そのナベツネ氏の仲介で大連立について密談した二人の党首討論、緊張感を著しく欠いているように見えました。
そして、かねてから読売新聞が重視するテロとの戦い。昨日、補給支援特別措置法が衆議院で可決されました。緊張感に満ちた議論が一度もされることなく。
この弛緩ぶり、かなりやばいと思います。
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