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夢を見るのは好きじゃない

子供たちが寝る前によくお話をしています。

桃太郎やかぐや姫、あるいはグリムやアンデルセンの童話はとっくに語りつくしてしまったので、いまは私の創作。というか、むかし見た映画や小説の換骨奪胎、つまりパクリです。
最近、子供に好評だったのは「ミクロの決死圏」のネタ。医療チームが不治の病を治すため、ミクロの存在になって人体に入っていくという映画を、風邪を引いたお父さんの鼻の穴に、ノミくらいになった子供たちが入り込み、ビールスをやっつけるという冒険譚にしました。鼻毛の林を分け入り、鼻水のねばねばに悩まされ、咳の暴風雨を浴びながらも、ビールスと戦う勇敢な子供たち----と書きながら、恥ずかしくなってきますが。

これ以外にウケたのは大林宣彦の「転校生」、黒澤明の「七人の侍」の主人公を小学生にしたやつでした。彼らが大きくなって、これらの映画を見たら「オヤジの盗作」がばれることでしょう。

ある日、話が終わった後、息子がぼそっといいました。

「おれ、夢みたくないんだよね」

どうして? と聞くと、

「だって怖いのみたらいやじゃん」

でも楽しい夢もあるだろ。

「楽しい夢だったらさー、目が醒めたとき、がっかりするし」

それを聞いて「夢のないやつだなあ」と思ったのですが、確か、松坂投手が「夢という言葉は好きじゃない」と言っていたのを思い出しました。夢って実現不可能なものだからというような理由だったと思います。また、野村監督も例のぼやき調で,

「夢は嫌いや。すぐ消えるからな」

私は息子にこのエピソードを話し、「お前もがんばれ」と、意味のない励ましをしてしまいましたが、とりあえず「リアリスト」ということでよしとしておきました。

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