先日、川内康範氏が亡くなりました。享年88才。
「月光仮面」の原作をはじめ、数え切れない映画やテレビドラマの脚本、作詞、さらには評論と、活字の世界を縦横無尽に動いた人でした。
歌では「君こそわが命」(水原弘)、「伊勢佐木町ブルース」(青江三奈)、「おふくろさん」(森進一)などが有名ですが、私には「愛の戦士レインボーマン」の原作者というイメージが強い。
インドの山奥で 修行して♪
というテーマソングで、1972年に放映が開始されたヒーローもののテレビ番組です。が、全体的に雰囲気は暗く、話は重いし深刻で、子供の私にはちょっとしんどかった。悪役は「死ね死ね団」という「日本と日本人を抹殺すること」を目的にした秘密結社、民族間の殺し合いみたいなシーンもありました。
その暗さの意味がわかったのは大人になってからです。川内氏が日蓮宗のお寺に生れたこと、戦後の抑留日本人の帰国支援や戦没者の遺骨をもちかえる運動に関わっていたこと、戦争責任について真剣に考えていたことなどを知りました。
川内氏は政財界にも顔が広く、竹下首相のブレーンをやったりした後、「姓はアメリカ、名は国連」という奇書(?)を書いています。湾岸戦争時、多国籍軍の中心となったアメリカ、そのアメリカにイラク攻撃のお墨付きを与えた国連、そして戦争に気前よく金を出した日本を痛烈に批判したものです。ちなみに彼には「日本は不戦の憲法を犯すな 昭和天皇の御遺志を護持せよ」いうエッセイもあります。ついでにいえば「恐妻党総裁に栄光あれ」という映画の脚本も書いています(これ、私は未見ですが)。
晩年、川内氏は、森進一が「おふくろさん」の初めに語りを入れたことに怒って、「森には"おふくろさん"を歌わせない」と言っていたそうですが、氏の訃報を聞いたとき、私には「レインボーマン」の2番のフレーズが思い出されました。
人間だれでも みな同じ 肌や言葉の違いを除きゃ♪
破天荒で、規格外の人生を送った人だと思います。合掌。
コメントする