やたらと行政寄り(というより権力寄り)の判決ばかりが目立つ、最近の裁判だが、(ことに「ビラ撒き有罪」はひどかった)、久しぶりに、まともな「憲法判断」が示された。
名古屋高裁が、4月17日に下したのが「イラクへの航空自衛隊派遣は、憲法9条1項違反」という判断だった。
名古屋高裁が、4月17日に下したのが「イラクへの航空自衛隊派遣は、憲法9条1項違反」という判断だった。
なんてったって、
「どこが戦闘地域なのか、私に聞かれても分かるわけはない」
「自衛隊が活動している地域は、非戦闘地域だ」
などという、人をバカにした答弁をしてきたのが小泉純一郎首相。
人気があれば何を言っても許される、という最悪思考の持ち主だった。
その小泉氏のいい加減ぶりが、この判決できちんと指摘された。
現在、航空自衛隊が輸送業務に当たっているバグダット。
そこは「イラク復興支援特別措置法のいう戦闘地域に該当する」
と、名古屋高裁は、明確に認定したのだ。
しかも、この判決は確定した。
なぜなら、「原告側が求めた1人1万円の損害賠償は認めない」
ということで、判決の本体部分は国側の勝利。
つまり、国側は形式的には「勝訴」してしまったわけだ。
勝訴側は控訴できない。
だから、原告側が控訴しない限り、この判決は確定する。
すなわち「自衛隊のイラク派遣は憲法違反」が認定されたのだ。
むろん、国側はそれでも派遣を続ける構えだ。
「憲法違反」でもなんでも、自分に都合の悪い判決など、聞く耳持たない。
しかし、この判決の意味は重い。
来年の7月で切れる「イラク特措法」への影響は必至だからだ。
民主党は、基本的には「イラク派兵反対」。
参院では、イラク特措法の延長は否決される。
そうなれば、自民公明の与党は、またしても衆院3分の2条項での
再議決を目論むだろうが、しかし、来年の7月に、与党が衆院で3分の2の勢力を維持できている、と思う人はどこにもいまい。
それでも、転んでもタダではおきない自民党。
民主党に手を突っ込んで、「自衛隊派遣恒久法」を作ろうと目論む。
これが、いちばん危ないシナリオだ。
それだけは、何とか阻止したい。
それにしても、まともな裁判官もいたんだなあ。
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