旧「マガ9ブログ」アーカイブです

道路はいらん

香川県に住む高校時代の友人が出張で東京に来たので、昼ごはんをともにしました。最近、景気はどう? みたいな話になると、彼は、

「高知道(四国を南北に縦断する高速道路)あるやろ、一部、対面2車線だったとこ、4車線にするんやて」

その道路、私も帰省時にときどき走りますが、渋滞などなく、いつもがらがら。

「そんな道路広げてどーすんやって。ガソリン代も高うなってんのに。ますますクルマ、走らんようになるわ」

彼、めずらしく興奮気味です。

「だいたいな、高速つくって、四国にいいことあったか? 瀬戸大橋できたら、高松にあった大手企業の支店が岡山に移っていったし、明石大橋できたら、徳島から大阪まで高速バスが走り始めて、徳島の若い子、週末に大阪の梅田あたりへ買いもんに行く。で、地元の商店街はますます客こらんようになる」

道路できて、四国からますます人が出ていったと彼は言いました。

それにしても地方の経済は厳しい。これまでのビジネスモデルが通じなくなっているといった漠とした感じはあるけど、「じゃあ、どうすればいいか」が見えてこない。

「まずは一次産業かな。食べるもんも、高こうなってるし」

友人は専業農家の次男坊。いまは地元企業のサラリーマンですが、自分も畑仕事しようと考えているそうです。

私の実家も、祖父母の時代はタマネギやみかんをつくっていました。養豚もしており、子供のころ東京に住んでいた私は、夏休みにじいちゃん、ばあちゃんの家に行くと、長い間、豚を観察していました。

人間が残した食べ物を食べて、そして大きくなって、人間の食べ物になる。なんてえらい動物なんだろう。子供心に敬意をもっていたのです。

そんな実家の周りも、いまでは県道が何本もできて、交通の便はよくなった一方、田んぼは減り、山のみかん畑も荒れています。

「香川県はせめて自分たちで小麦をつくってやな、讃岐うどんくらい自前で打てるようにならな、いかんで」

そう言い残し、彼は東京から四国へ帰っていきました。

トラックバック(0)

トラックバックURL: http://daily.magazine9.jp/mt/mt-tb.cgi/143

コメントする