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遠くを見る

ちょっと前、わけもなくイライラすることがありました。でも「イラつくには理由があるはずだ」と思い直し、ここ数日の自分の行動をトレースしてみると、私の視界がえらく狭まっていることがわかりました。
自宅は(小さな)マンション、通勤手段は地下鉄、職場はビルのなか、しかも、そこでパソコンのディスプレイとにらめっこ。数日間、せいぜい半径30メートルくらいしか見ないで生活していたのです。

で、お昼どきに隅田川まで歩いていき、橋の上から東京湾方面をしばらく眺めていると、気持ちがするするとよくなった。

それ以来、1日のうち1回は、遠くを見るようにしています。東京ではいかんせんむずかしく、大通りの先を眺めたり、しばらく空を見上げたりするくらい。周りからは「ちょっと変な人」あるいは「訳ありの人」に見えるかもしれませんが、気分がよくなる方が優先です。

むかし「自然を見れば、自分の悩みなんかちっぽけなものと思えてくるさ」といった慰められ方をされたことがあります。それを信じて、海岸から水平線を眺めてみたものの、自分の抱えている問題は小さくなるどころか、頭のなかでは「どうしたらいいんだろう」と堂々巡り。

ただ、パソコンや携帯の画面を見ながら考えるよりも、身体への負担は少なかっただろうと思います。

気分がどん詰まりになったとき、しんどい自分を語れる友人や仲間がいないとき、遠くに視線を伸ばしてみる。たぶん多くの人が無意識にやっていることを私は最近、意識的に始めました。

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