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親の想像力

小学校が夏休みに入る前のある朝、寝坊して、あわてて子供たちを起こしたところ、息子が「ええ、遅刻だよ〜」と半べそをかきながら、朝ご飯をかき込むのに対して、娘は寝ぼけ眼のまま、何も言わず、おもむろに毎朝見ているNHKの朝ドラにチャンネルを合わせました。

同じように育てているつもりなのに、どうしてこうも性格が違うのだろう?
と同時に、子供は親の想像力を越えた存在になっているんだなとも思いました。親が子供の行動や心情を予測できる範囲など知れたものです。

最近の東名高速での14才少年によるバスジャック事件や八王子市での33才の男性による刺殺事件で、「親を困らせてやろうと思った」ことが動機の一因と聞いたときに浮かんだ疑問は、なぜ彼らは親にではなく、見ず知らずの他人にナイフを向けたのか、でした。

「敵」である親に怒りを向けず、ただ困らせたかった。

同じころ、女子中学生が就寝中の父親を刺殺するという事件もありました。少女の心情を想像する能力を持ち合わせていない私が思ったのは、自分の子供が私を刺すのと、あるいは(私を困らせるために)他人を刺すのと、どちらがより辛いか。

答えは簡単には出せません。どちらにもたくさんの絶望とほんのちっぽけな希望がある。ただ、辛うじて言えるのは、親の乏しい想像力を補ってくれるのは友人や先輩・後輩、学校や職場といった広い意味での社会ではないかということです。

ちなみにわが家の子供の性格は、息子が父親(私)系、娘が母親系。とくに息子は、スポーツ観戦好きと、頭のネジが数本抜けているところも父親似で、6月の欧州サッカー選手権で、ひいきのスペインが優勝したとき(私はドイツを応援していました)には、

「やったーッ! スペイン、日本一ッ!」と叫んだ後、あれっ? としばらく首をかしげていたくらい「ぬけて」います。


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