『はだしのゲン』の「週刊少年ジャンプ」での連載が始まったのは1973年25号から。読者からのアンケートによって連載継続か打ち切りかが決まる同誌 で、一定の人気はありながらも、地味で決して受けのよくなかったこの作品を、当時の長野規編集長は守りぬいたといいます。1974年39号で連載終了後、「市民」「文化評論」「教育評論」といった雑誌で連載が続けられ、1985年に第1部が終了しました。

広島平和記念資料館では「はだしのゲン原画展　生きて生きて生きぬいて」を開催中です。同館が所蔵する漫画や絵本の原画や挿絵約70点が展示されているほか、未発表の『はだしのゲン第2部』のうち、今年1月に新たに見つかった下書きの遺稿16ページも。第1部完結後、作者の中沢啓治さんはゲンのその後を描く第2部の執筆に意欲を燃やしていましたが、目が悪くなったことなどから断念したものです。

広島市こども図書館で開かれている「中沢啓治展」では『はだしのゲン』、絵本、紙芝居など中沢さんの著作が展示されています。また、広島市まんが図書館では「中沢啓治作品展」。こちらでは掲載された「週刊少年ジャンプ」や複製原画の展示も行われます。展示はほとんど9月1日で終わってしまいますが、この機会に、被爆や戦争の実相を克明に描いた名作漫画に触れてみてはいかがでしょうか。