マガ9editor's room

マガ9編集部発の情報やスタッフが書いたコラムを随時お届けします。

日めくり編集メモ 483

| トラックバック(0)

だるまちゃん、てんぐちゃん、からすのパンやさん…長きにわたる人気キャラクターの生みの親でもある、かこさとしさんの展覧会が、徳島県立文学書道館で開かれています(23日まで)。

かこさとし(加古里子)さんは1926年、福井県で生まれました。旧制成蹊高等学校を経て東京大学工学部応用化学科へ。卒業後、昭和電工の研究所勤務を続ける傍ら川崎市などでセツルメント活動を行い、子ども向けの人形劇、紙芝居、幻灯作品などを作りました。その活動を聞いた福音館書店の松居直さん(現相談役)から勧められて、科学技術と自然を絡ませて描いた絵本が1959年の『だむのおじさんたち』。この作品がかこさんを絵本作家に導きました。

その絵本は、『かわ』『たいふう』などの科学絵本と、「だるまちゃん」シリーズ、『おたまじゃくしの101ちゃん』などのユーモア絵本とに大別できます。双方とも、戦争で失ったかも知れない自分の命を子どものために尽くしたいとの思いから生まれた作品なのです。絵本作家として知られるようになったかこさんは48歳で退職し、作家活動に専念。その業績と、子どもの遊びについての資料集成『伝承遊び考』全4巻の完成を理由に、第56回菊池寛賞を受賞しています。

この春には『からすのパンやさん』の続編『からすのおかしやさん』などを4冊刊行し、この18日には『どろぼうがっこう』の続編『どろぼうがっこう ぜんいんだっそう』など2冊が発売されるなど、87歳の現在も旺盛な執筆活動を続けるかこさん。今回の展覧会では、絵本原画や資料の展示のほか、からすのパンやさんに変身したり、ぬりえやパズルで遊べるコーナーもあるとのこと。8日には朗読会、14日にはJAXA宇宙教育リーダーの堀寿夫さんの講演会もあります。
※ 「かこさとしの世界展」は9月23日まで、徳島県立文学書道館で(9日、12日は休館)。観覧料は、一般500円、大高生350円、小中生250円。

(参考資料:時の回廊「加古里子『だむのおじさんたち』 子どもの審美眼に学ぶ」朝日新聞2012年1月20日付)

トラックバック(0)

トラックバックURL: http://daily.magazine9.jp/mt/mt-tb.cgi/1231