地域おこしのため、ゆるキャラやローカルヒーローを作るのは定番となっていますが、大成功を収めている例が沖縄にあります。その名も「琉神マブヤー」。沖縄で知らない子供はいないほどです。
最近では「秘密のケンミンSHOW」「スクール革命!」などでも取り上げられたためご存知の方も多いと思います。もともとは地元の土産物業者が、男の子向けのキャラクターを企画し、商品化・実体化したものです。先輩格の秋田のキャラクター「超神ネイガー」のスタッフからの助言も受け、ヒーロー物として非常に質が高いものに仕上がりました。テレビ番組は2008年10月から放送されましたが、瞬く間に沖縄の子供たちの支持を得ました。
ストーリーは、「魂(マブイ)」がこもった9つのマブイストーンを悪の軍団マジムンが奪い、危機に陥った沖縄の平和を守るため琉神マブヤーが取り返す、という勧善懲悪ものです。これに、沖縄ならではの工夫がされています。子供たちに地元の文化を伝えるため意図的にウチナーグチ(沖縄方言)を多用したのです。マブイストーンの種類も、「石敢當」「エイサー」「チャーガンジュー」など沖縄に根差したものばかり。また、敵・マジムンと戦っても完全に殲滅するのではなく、むしろ戦いの果てに何があるのかを問うなど、平和の島・沖縄らしい構成になっています。
ショッピングセンターなどでのショーを見ると、大変な数の子供たちが集まって目を輝かせながらマブヤーに「がんばれー!」と声援を送っています。地域に密着したヒーローの成功は、沖縄の元気さを内外に向けて大いにアピールしているようです。昨年から今年にかけては「琉神マブヤー外伝 so!ウチナー」が放映されましたが、続編の「琉神マブヤー2(ターチ)」が10月放送開始予定ということでいよいよ制作が始まりました。どのようなものになるか、期待は膨らみます。
(参考文献:沖縄県産業振興公社「沖縄ベンチャースタジオ」17号)