岩崎弥太郎は土佐藩の下級武士でしたが、土佐藩が立ち上げた商務組織である九十九（つくも）商会で海運業を営み、これを改称して三菱商会としました。このときに作った三菱マークは、主君山内家の「三つ柏」と、岩崎家の「三階菱」を組み合わせたイメージと言われています。

3大財閥のうち、ほかの企業マークにも触れましょう。住友は井桁が有名ですが、これは、住友創業者の住友政友の義兄で、同じく創業者の蘇我理右衛門が営んでいた銅精業の「泉屋」の、泉を意味する井桁を使った紋章だそうです。

また三井は、1677（延宝5）年頃から中興の祖・三井高利が越後屋の暖簾に使った「丸に井桁に三」が知られています。これは単に「三井」を図式化しただけでなく、丸は天、井桁は地、三は人を表し、「天地人」の三方を意味しているそうです。

戦後、財閥解体でそれぞれが独立した企業になりましたが、グループとしての結束は固いようです。そこには、海外でも有名になった、いわゆる「ケイレツ」を超えた「旧財閥グループ」としての意識が未だにあるようですが、過去の、軍産一体だった戦中の轍を踏まないよう、企業としての良識を期待したいと思います。平和だからこそモノは売れるのですから。
（参考文献：『日本のロゴ』『日本のロゴ2』成美堂出版）