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日めくり編集メモ 031

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落語家には亭号があります。さらに下の名前に使われている字を見ると、どの流派か、誰の弟子かすぐ分かります。落語家ほどではありませんが、漫才師にも屋号(亭号)があります。

上方で大きな屋号というと「横山」が出てきます。近代漫才の祖で、花菱アチャコとコンビを組んだ横山エンタツからの流れでです。彼の出身地である兵庫県三田市横山町から採ったようで、横山ノック・フック・パンチ(漫画トリオ)、横山やすし、横山たかし・ひろしと続きます。ちなみに音楽ショー漫才の横山ホットブラザーズは、本名が横山であり、上記の横山一門との師弟関係はありません。

島田洋之介・今喜多代の「島田」「今」も、島田洋七・洋八(B&B)、島田紳助、今いくよ・くるよにつながり、海原お浜・小浜のの「海原」は海原千里・万里、海原はるか・かなたに、中田ダイマル・ラケットの「中田」は中田カウス・ボタンに、若井はんじ・けんじの「若井」は若井ぼん・はやと、若井小づえ・みどりへとつながります。

ただ漫才はコンビ別れも多く、その際に名を改める人も少なくありません。また1982年のNSC(吉本総合芸能学院)創設以降、師匠を持たない「ノーブランド芸人」も多くなりました。しかし、屋号を持った漫才師の後ろには師匠の影がほの見えることもあり、これも楽しみの一つです。
(参考文献:大阪府立上方演芸資料館(ワッハ上方)編『上方演芸大全』創元社)

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