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アブナイ芸人 その2 「鳥肌実」は無名のころからヤバかった

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 今から15年ぐらい前、吉本興業が渋谷にオープンした「渋谷公園通り劇場」という劇場がありました。以前書いた銀座七丁目劇場の流れで、そこのスタッフとたまたま知り合いだった私は、あるとき「イベントの審査員をやってくれないか」と頼まれました。

 若手芸人10組ぐらいが出演するライブで、勝ち抜き形式のような方法で優勝者を決めるというもの。

 審査員は「テレビや雑誌の現場で活躍する人」ということで、どうやら人数が足りなかったらしく、「活躍」はしていなかったけど雑誌編集者には違いない私も、その中の一人となったわけです。

 

出演者の中には、今では中堅芸人としてテレビなどで活躍するガレッジセールもいましたが、その中で異様な存在感を発揮していたのが鳥肌実(とりはだ・みのる)でした。

 

ネタの内容は覚えていませんが、一人でマイクの前で何事かをつぶやき、文句を言うというスタイル。後年のように右翼ネタや政治ネタ、それから宗教ネタなどではなく、何か日常の出来事に対して怒りをぶつけるというネタでした。

 

 勝ち抜くためには必要だったのか、何回戦目かでは、ずりさがったズボンのチャックから男性自身が少しはみでた状態で、文句を言い続けるというスタイル。

 

 そして、その大会、なんと鳥肌実が優勝してしまったのです。ガレッジセールは準優勝だったと思います。

 

 私は、司会者から感想を求められて、こう答えました。

 

「よかったです。鳥肌さんが優勝して。ガレッジセールの二人は、今後はテレビで頑張れますけど、鳥肌さんはテレビ無理ですからね」

 

 半ば冗談のつもりでそう言ったのですが、その後、私の予想どおり、鳥肌実は、テレビはもちろんラジオや雑誌など、主要メディアにほとんど登場することはありませんでした。

でも、単独ライブのチケットが売り切れになるなど、一部のファンからは熱狂的な人気を誇るカルト芸人として現在では存在しています。(続く)

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