その姿をテレビで見たとき、「この人、放送していいの?」とマジで思いました。それが「みつまJAPAN」という芸人だったのです。
松村邦洋さんの弟子として業界入りしたみつまJAPANは、しばらくの間、松村さんのマンションのベランダに住んでいた(と、松村さんがテレビで言っていた)。
身長149センチ、ずんぐりむっくりした身体、そして極端に細い目が印象的でした(というより、正直言うと気持ち悪かった)。
「どーでもいいんですけどね」と言って手を前後させるのが持ちギャグでしたが、そのギャグ自体が「どーでもよかった」ような気がします(あ、私、彼を決してキライなわけじゃありません)。
熱いお湯に入ったり、辛い物を食べたりという「リアクション芸人」の道をその後歩みますが、強烈な印象を与える見た目は、やはりテレビに耐えられなかったのか、それとも単につまらなかったのか、彼はテレビから消えていきました。
そんなみつまJAPANを私が"発見"したのは、なんと自宅の最寄駅でした。
改札を抜けたところに毎夜、荷台部分にたこ焼き機をすえつけた一台のバンが停まっていたのですが、もうお分かりのとおり、そこでたこ焼きを焼いていたのがみつまJAPANだったのです。
あんなに強烈な見た目の持ち主はそうそういるものじゃなく、一目で分かりました。
それから毎日、みつまの様子を横目で観察しながらの帰宅。
ある日、ガマンができなくなって「もしかして、みつまくん?」と声をかけてみた。「あ、業界の方ですか?」と言われたので、「テレビじゃなくて雑誌なんだけど」と答えた。「大変だね、バイト?」と聞くと、汗だくになって「はい」と返事。たこ焼きを買うと「これサービスです」と余分にくれました。
それからも、たまにたこ焼きを買ったのですが、いつの間にかみつまはいなくなっていました。
今回、この原稿を書くにあたってネットで検索してみたら、その後も、みつまJAPANは地道に活動をしていることが分かりました。
たぶん、それほど売れているわけではないでしょうから、今でも、どこかでバイトをやっているのかもしれません。