そのニュースが飛び込んでくると、七丁目劇場の楽屋はその話題で持ちきりになり、いつもは小さい声でボソボソ話しているか、黙っていることが多かった岡村さんも、少し興奮気味に話していたように思います。
そんななかで印象に残っているのは、ほかの芸人たちが「板尾さん、どうするんやろ?」と板尾さん本人の心配をするなか、岡村さんは「ホンコンさん、どないするんやろ?」と、やたらと言っていたことでした。
ホンコンこと蔵野孝洋さんは、板尾さんの相方。事件の当事者よりも、その相方の今後の仕事を心配するあたり、岡村さんの性格が表れているような気がしました。
その年、ナインティナインは「天素」から脱退。それから約5年後に七丁目劇場は閉館となりましたが、その間、ナインティナインはゴールデンタイムにレギュラー番組を持つ人気者になっていきました。
記憶は定かではないのですが、岡村さんは雑誌か何かのインタビューで東京
進出をした当時のことについて、「ミーハーな女性ファンが多いことに危機感
を持った」というようなことを語っていました。
その記事を読んだとき、あの異常な大歓声のなか、岡村さんが一人醒めていたように見えた理由が分かったような気がしました。突然人気者になったことへの戸惑い、自分のやりたい笑いと観客が求める笑いとのギャップ、人気がいつまで続くのかという将来への不安...。岡村さんは、そんなことを真剣に考えていたのではないでしょうか。
現在、岡村さんは長期休養中で、その理由もはっきりしないため「重病説」なども囁かれています。ある週刊誌には、仕事に対して根詰める傾向のある岡村さんの「精神的な疲れ」が原因と書かれていましたが、岡村さんなら、ありえるような気もします。
原因は何であれ、早く元気になって復活してほしいと思います。