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「春風亭昇太」さんとの"ちっちゃな"思い出

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 今から約20年前、ある雑誌の編集者をしていたとき、春風亭昇太さんと一緒に仕事をさせてもらうことになりました。昇太さんとある映画評論家の方が、毎回新作映画をネタに対談をするという連載です。

 

 当時、昇太さんは若手落語家として人気が出始めていたころで、私は末広亭に何度か落語を見に行きました。昼間の回に行くことが多かったからか、客席は人もまばらでしたが、そんななかでも舞台の昇太さんは生き生きしていました。

 

「持ちネタ」のひとつだったのかどうか知りませんが、昇太さんはマネージャーYさんほか、自分の事務所のスタッフの身長のことをよく話しました。Yさんを筆頭に事務所のスタッフはみんな背が低いらしく、昇太さん自身も小さいことから「うちの事務所は"ちびっ子ハウス"って呼ばれているんですよ」というもの。「ちびっ子ハウス」とは、昭和40年代前半に放送されたアニメ「タイガーマスク」に出てくる孤児院の名前で、それを知る者にとっては爆笑ネタでした。

 

ネットで検索したところ、昇太さんの身長は163センチとあります。マネジャーYさんはそれより少し低い。現場にはいつも2人でやってきます。そして、対談相手の映画評論家と私と、私の同僚の編集者、この5人がそろって取材開始となります。

 

取材場所は、だいたい室内で、私たちが先にいて、昇太さんたちの到着を待つという感じでしたが、あるとき全員で街中を移動することに。

 

そのとき、私はふとあることに気づいたのです。

 

私の同僚の編集者も160センチ台前半の身長、映画評論家の方は昇太さんのマネージャーさんよりもさらに低い身長。私はといえば、計るときによって微妙に変わりますが、だいたい176センチ前後。つまり、私以外はみんなかなり背が低い。しかも、みんな揃いも揃って童顔。

 

その日、私は少し底の高い革靴を履いていたので、たぶん180センチは超えていたでしょう。街中の店のガラスに映った私たち一団は、なんだか一人の大男が小さな子どもたちを引率しているようでした。

 

今では国民的番組「笑点」のレギュラーになり、ベテラン落語家として活躍する昇太さんの姿をテレビで見ると、いまでもあのときの「ちっちゃな思い出」が蘇ります。

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