いまの「ゆるキャラ」のさきがけと言うべきでしょうか、カエルの着ぐるみが子供たちの圧倒的支持を集めたことがありました。その名をケロヨンといいます。
ケロヨンの生みの親は影絵作家の藤城清治さん。1966年に始まった『木馬座アワー』のなかの「カエルのぼうけん」の主人公がケロヨンでした。瞬く間に子供たちの人気を集め、番組の視聴率は30%を超えたそうです。同年から日本武道館でショーも開催し、その動員数はひと夏の公演で10万から20万人と言われています。こんにちはの挨拶「ケ〜ロヨ〜ン!」、さようならの挨拶「バ〜ハハ〜イ!」は子供の間で大流行しました。
着ぐるみを着てのアクションは今では当たり前ですが、当時としては画期的なことだったそうです。ましてや彼らがとんだり跳ねたり、映画『ケロヨンの大自動車レース』ではカーレースに挑戦するなど大活躍するのですから、子供たちの目は釘付けになりました。おもちゃや弁当箱、水筒、日用雑貨にケロヨンがあふれ返りました。
藤城清治さんはそれだけではなく、影絵作家として日本を代表する存在です。何せ大学を卒業した1947年に人形劇・影絵劇の劇団を作り、その翌年には「暮しの手帖」で影絵を連載しはじめたのですから。大抵の人はテレビの天気予報やCMで彼の影絵を見たことがあるはずです。86歳になる現在も、藤城さんは日本各地で展覧会を開き、精力的に活動をしています。
(参考文献:藤城清治 影絵の世界HP、藤城清治創作活動65周年記念DVDHP)