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日めくり編集メモ 047

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たんすの底に敷いてあった古新聞を見て、字の小ささに驚かされました。大きな字にすっかり慣れてしまったのですね。限られた紙面で字を小さくすれば読みにくくなる。しかし情報量は確保しなくてはならない。この矛盾にどう向き合うかが、かつての新聞業界の課題でした。

193912月、厚生省は朝日、東京日日(現・毎日)、読売の3紙に対し、「多画漢字の制限」や「改行や句点の多用」を指示しました。紙不足が深刻化するなか各紙は翌年から、1ページの段数を1段増やして15段とし、活字も6.7ポイント(約2.35ミリ角)から6.3ポイント(約2.21ミリ角)とすることにしたため、「国民の視力上の問題を憂慮」してのことでした。世情を考えると、一般国民の視力確保、イコール兵隊のそれだったのでしょう。

 

朝日新聞大阪本社印刷局長小西作太郎は、かねてから画数の多い正方形活字の読みづらさを感じていました。そこで当時の常用漢字を分類して、へんやつくりがあるため横長な文字が61%にも上ることを証明し、活字を扁平にすることを思いつきます。縦は6.3ポのままにして横を2.5ミリにしたところ、見た目には7ポ並みになり、さらに行間を6分の1ほど詰めた結果、それまでより1段に3行増えてむしろ情報量拡大になりました。扁平活字は1941125日から使われましたが、各紙もこれに追随したのです。そのくらい画期的なものでした。

 

かつては各紙とも1行に15字がほとんどでしたが、今では10字から12字が多いようです。新聞離れや読者の高齢化があるのでしょう、確かに読みやすくなりました。しかし記者クラブ制度や政権べったりの論調、再販制度や押し紙の問題など、新聞をめぐる問題は山積しています。紙面が潤沢に使える時代だからこそ、情報「量」とともに「質」にも気を配ってほしいものです。

(参考文献:「朝日新聞」第2部・新聞と文字 1981713日付)

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