江戸時代末期の血みどろな芝居絵、というと腰が引けてしまうかもしれませんが、その土俗的な迫力ある絵は妖しい魅力にあふれています。高知県では「えきんさん」として有名な絵師金蔵(弘瀬金蔵)の手によるものです。
絵金は1812年、高知城下に髪結いの子として生まれました。子供の頃から画才があり、18歳で江戸に上って狩野派本格を学びます。21歳で帰国し土佐藩家老桐間氏の御用絵師となりました。しかし贋作事件を起こして身分剥奪されてしまいます。この事件は、彼の才能をねたんだ者の罠という説もありますが、詳しいことは分かっていません。苦難と放浪の末、赤岡(現香南市
農漁民に愛された、おどろおどろしく粘着的な画風は、見るものを釘付けにせずにはいられません。1876年、絵金は65歳で没しますが、その後も赤岡の人々は個人や地区ぐるみで所有し、現在まで「赤岡の宝」として大切にしています。毎年7月には「絵金祭り」も開催され、蝋燭の炎をかざして見るその絵は、いよいよ妖しさを増します。この
先月、