河原や荒地などで、セイタカアワダチソウの群落を見かけます。風にそよぐ黄色いその花は、まるで黄金色の波濤のよう。しかし、かつては「害草」として長く嫌われてきました。
「背高」というだけあって、高さは1メートル以上あり、中には2メートルを越すものも。戦前からの帰化植物だそうですが、一般に広まったのは戦後。米軍の物資に付いていた種子によって、あるいは養蜂家が蜜の少ない時期用に利用するためなどの説があります。ともあれ北アメリカ原産。英語名をTall Goldenrod(rodはムチのこと)といい、アメリカのいくつかの州の州花になっています。
広く繁茂した理由は、その強い繁殖力。1株が3年たてば、十数平方メートルを占拠すると言われています。その1株が数万の種子をつくり、さらに他の植物を育たなくする特殊な物質を根から分泌するのです。これをアレロパシー(他感作用)といいます。しかし他の植物がなくなった後は自分の繁殖を妨げてしまうそうで、まさに両刃の剣です。
かつては花粉症の原因と言われて長く嫌われてきました。その風情のなさのせいでしょうか。しかし、秋の花粉症の「主犯」はむしろブタクサであることが既に分かっています。セイタカアワダチソウの花粉は風ではなく虫が媒介するものなので、あらぬ「冤罪」だったようです。
(参考資料:『フラワーカタログ 花集 秋の花、いろとりどり』北隆館)