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日めくり編集メモ 064

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これからの沖縄を左右する、本当に大事な県知事選挙が11日、告示されました。沖縄といえば、避けて通れないのが基地問題。これを笑ってしまおうという沖縄のお笑い団体があります。演芸集団FEC(フリーエンジョイカンパニー)です。

FECはもともと、現社長の山城智二さんの兄、達樹さんがつくった沖縄大学の一サークルでした。達樹さんは渡久地政作さんとお笑いコンビ「ファニーズ」を結成、その周りに人の輪ができ、いつの間にか「お笑い系青年会」のようになったとのこと。卒業後芸能事務所となりますが、主宰の達樹さんが若くして急逝してしまいます。その後智二さんが跡を継ぎ、舞台、テレビやラジオ、さらに執筆活動など多方面にわたって今も沖縄のお笑いを創り続けています。

2005年初演の「お笑い米軍基地」は、所属芸人でもある小波津正光さんが企画・脚本・演出を務めています。きっかけは彼の東京での体験。2004年8月13日、沖縄国際大学に米軍ヘリが墜落した事件を、周囲の東京の人々はおろか、メディアまでもがあまり関心を示さなかったことに驚きました。「沖縄と内地(本土)のこの差は何だ?」小波津さんは怒りながらも一つの結論に達します。「お笑いで沖縄の現実を発信しよう」と。

コントの俎上に載せるのは米軍だけではありません。基地に反対しながら基地フェスティバルに行く人々、金に転ぶ沖縄人、内地からの独善的な運動家からヤンバルクイナまで。毎年沢山の人々が舞台に足を運び、朝日新聞やNHKのETV特集で取り上げられたこともありました。今年の公演も盛況だったようです。この「お笑い米軍基地」がDVDになりました。内地ではまず見られない伝説の舞台をご覧になりたい方はぜひ。
(参考資料:演芸集団FECホームページ、小波津正光『お笑い沖縄ガイド』NHK出版生活人新書)

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