マガ9editor's room

マガ9編集部発の情報やスタッフが書いたコラムを随時お届けします。

日めくり編集メモ 069

| トラックバック(0)

きょう23日は一葉忌。東京都文京区の法真寺と台東区立一葉記念館では、それぞれ樋口一葉を偲ぶ催しが開かれます。法真寺は作家の領家高子さんの講演と幸田弘子さんの朗読、一葉記念館は田中優子法大教授の講演と辻村寿三郎さんの人形ショーです。

一葉は1872年生まれ。幼い頃は裕福でしたが、父が亡くなった後は女手ひとつで家族を支えなくてはなりませんでした。戸主になったのは18歳のとき。小説家を志して半井桃水に師事し、数え年25歳で生涯を終えるまでに「大つごもり」「たけくらべ」「にごりえ」など日本の近代文学史に名を残す作品を書き上げていることはご承知の通りです。

 

小説のほか、一葉は多くの日記を残しました。本格的な最初の日記「若葉かげ」は桃水との出会いからはじまり、彼への恋情を綴っています。こうしたところから紫式部になぞらえて「今式部」と呼ばれたこともありました。遺言では日記を焼き捨てよとのことでしたが、妹邦子はそのすべてを守り、一葉の伝記研究に多大な功績を残しました。

 

それまでの新渡戸稲造に代わって5000円札の肖像になったのは200411月から。一葉記念館には2001年暮れに財務省から、印刷局(現独立行政法人国立印刷局)で紙幣を作る職人を育成するため一葉の肖像を貸してくれ、という依頼があったとのこと。このとき肖像の話は全くなかったそうですが、おそらくずっと準備していたのでしょうね。

(参考資料:法真寺ホームページ台東区立一葉記念館ホームページ、東京新聞・中日新聞文化部『文学館のある旅103』集英社新書)

トラックバック(0)

トラックバックURL: http://daily.magazine9.jp/mt/mt-tb.cgi/337