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日めくり編集メモ 070

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本屋さんに入って、平積みになっている雑誌を見ると、麗々しく「1月号」と表示してあります。しかし、まだ11月。これはいったいどういうことでしょうか。

小松左京さんの短編小説で、11月なのに翌年の「花まつり陽春号」が出るような、すべてを先へ先へとしていく風潮を皮肉った『先取りの時代』という作品がありました。このように、かつては雑誌の日付けの先付け競争が激しくなり、月刊誌だと3ヵ月先の表示のものもあったとのこと。つまり、盛夏の8月に11月号が出ているようなものです。

さすがに行き過ぎと感じたのでしょう、業界団体の日本雑誌協会などによって協定が結ばれ、週刊誌は15日先まで、月刊誌は40日先までの号数となりました。つまり2ヵ月先までならOK。例えば11月下旬に1月号が発売されると、次の号が発売される12月下旬まで店頭には1月号が並び、古さを感じさせずに済むというわけです。

やはり雑誌は、たいてい季節を先取りした内容であるため、新しさを感じさせることは重要です。ファッション誌などは特にそうでしょう。また週刊誌だと、地方への運搬に日数がかかり、全国同日発売が難しいため、表示日を先にしていると思われます。そういえば、「週刊少年ジャンプ」は沖縄では火曜日発売でした。
(参考資料:小松左京『物体O』新潮文庫、橋本健午『雑誌出版ガイドブック』日本エディタースクール出版部)

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