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児童書における「戦争プロパガンダ」と「表現の規制」を考える

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「戦前の日本の為政者たちが青少年の健全育成をタテに、まず漫画を始めとする子ども文化を規制し、たちまち一般の言論・表現の自由を踏みにじっていった歴史を思い起こさないわけにはいかない。」

これは、先日「日本ペンクラブ」が出した「東京都青少年健全育成条例の修正改定案に反対」する声明の中の一節です。

 

以下、声明の全文をHPより転載します。

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 東京都は12月の定例都議会に青少年健全育成条例の修正改定案を再提出するという。これは漫画やアニメなどの表現、インターネットや携帯電話などの電子的ツールの法的規制を通じて、青少年の育成環境から有害とされる性情報を排除しようというものだが、用語の変更等による部分的な修正は見られるものの、あいかわらず根本において、公権力が人間の内面や言論・表現の自由の領域に関与・介入することに対する謙抑的な配慮が感じられない。
 表現やコミュニケーションという民主主義社会の根本にかかわる配慮や規制は、自主的・自立的に行われるべきであり、そこにおける主体的な工夫や試行錯誤が大人社会を成熟させるだけでなく、青少年が多様な価値観のもとで生きていく知恵と力を身につけるために不可欠な経験となることは、古今東西の文学が描いてきた常識である。
 これまでの、また今回の改定案も、公権力がある表現を「有害」かどうかを判断することについて、何の疑念も抱いていない。しかし、言論・表現にかかわる私たちは、戦前の日本の為政者たちが青少年の健全育成をタテに、まず漫画を始めとする子ども文化を規制し、たちまち一般の言論・表現の自由を踏みにじっていった歴史を思い起こさないわけにはいかない。
 また今回の修正改定案も、インターネットや携帯電話等に関し、青少年の利用を制限する責務を親たちなどの保護者に、これまで以上に広範に、画一的に求めている。
 これは、本来プライバシーの空間であるはずの家庭の中にまで行政的規制を持ち込み、私たちの内面の自由、良心の自由を侵蝕するものと言わざるを得ない。
 以上述べたように、私たちはこうした条例が言論・表現の自由をゆがめ、プライバシー空間にまで行政・公権力の関与・介入を許すものとして、改めて反対する。

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「歴史に学ぶ」「歴史を検証する」ことを私たちは怠ってはいけない、と常々思っているのですが、そのような貴重なお話をお聞きし、また議論する機会が、来週末にあります。タイムリーと言ってしまっては、なんですが、この機会にみんなで考えて、アクションしたいとも思うのです。

12月4日(土)「第4回マガ9学校:子どもの本と戦争」@新宿

児童文学作家の山中恒さんと、漫画家の石坂啓さんが講師です。

戦前戦中の「児童書における戦争プロパガンダ」、そして現在進行形の「漫画やアニメへの表現の規制」についてお話いただきます。みなさんの参加をお待ちしています!!

申し込みはこちらから!!


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