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日めくり編集メモ 075

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「松嶋屋」といえば、歌舞伎の名門である片岡仁左衛門家の屋号です。この家には、芸名の付け方にちょっと変わった慣わしがあります。

京都の年末の風物詩である南座の顔見世興行が、東西の大物が顔をそろえ賑やかに行われています。片岡仁左衛門さん、愛之助さんが、休演の市川海老蔵さんの代役をお勤めですが、見事な山三と外郎売で評判のようです。ほかにも我當さん、秀太郎さん、進之介さん、孝太郎さんもご出演で、松嶋屋オールスターといった感じです。

松嶋屋の慣わしというのは、先代や先々代の本名を使ったり、その中の一文字を芸名に入れることです。例えば秀太郎という芸名は、11代目仁左衛門の本名。孝太郎は当代仁左衛門の本名・孝夫の一文字を使っての芸名です。当代は50年近く本名で舞台に立っていましたので、今でも「孝夫さん」と呼ぶ方も多いのはご承知だと思います。

孝太郎さんの子である千之助くんも、曾祖父である13代目仁左衛門の本名・千代之助の「千」をもらっての芸名。彼はまだ10歳ですが、10月には千葉県流山での利根運河薪歌舞伎で雨の中、愛之助さんと一緒に連獅子を舞い、喝采を浴びました。歌舞伎役者は変声期がつらい時期で、なかなか役がつきません。千之助くんもこれからそうなるでしょうが、乗り越えて大きな役者になってもらいたいものです。
(参考資料:『最新歌舞伎俳優名鑑』演劇出版社、『かぶき手帖2010』日本俳優協会)

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