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日めくり編集メモ 077

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黒々とした長髪にヒゲ、眼鏡をかけ、オーバーアクションでテレビに引っ張りだこだった作曲家・山本直純さん。彼の作曲した音楽で最も有名なのは、映画「男はつらいよ」のタイトルバックに流れる「♪チャン」かもしれません。

直純さんは19321216日生まれ。この日は楽聖ベートーベンの誕生日でもあります。父・直忠は作曲家・指揮者ですが、祖父・直良は富豪で、軽井沢の三笠ホテルや草軽軽便鉄道(現草軽交通)の創設者、さらにその妻愛子は有島健郎の妹という家系。自由学園で齋藤秀雄に出会い音楽に親しみ、一浪して芸大へ。学生時代の彼は、アルバイトでピアノ弾きやバンドに明け暮れます。

 

6年いた芸大を卒業した頃は、映画の黄金時代。ここで直純さんは音楽助手として「劇伴(ドラマのバックミュージック)」を多数作りました。転機は1966年、フジテレビの新番組「男はつらいよ」の作曲に指名されたこと。時間がなくて、ステージの傍らのピアノで一気に作曲。作りすぎてメロディーが余ってしまい、作詞の星野哲郎さんが終わりをリフレインにしたそうです。

 

1972年、日本フィルハーモニー交響楽団が分裂、新日本フィルの指揮者団幹事に。食うために始めたのがTBSテレビの「オーケストラがやって来た」です。しかしこの番組は評判となり、足掛け11年、554回続きました。ボストン・ポップスの指揮も197980年の2回行っています。また83年の大阪城ホールのこけら落としから「1万人の第九」を始め、98年まで指揮者を務めました。

 

最後に彼作曲のタイトルを列挙します。「札幌オリンピック行進曲『白銀の栄光』」「小沢昭一の小沢昭一的こころ」「風と雲と虹と」「こぶたぬきつねこ」「歌えバンバン」「一年生になったら」「3時のあなた」「マグマ大使」「ハレンチ学園」「新オバケのQ太郎」「森永エールチョコレート(大きいことはいいことだ)」...。ここに挙げたのはごく一部。直純さんは多くの人に親しまれる曲を残して2002618日、亡くなりました。

(参考資料:『「人生即交響楽」山本直純CD選集』日本音声保存)

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