強烈なにおいの食品として、スウェーデンの発酵食品シュールストレミングは有名です。日本では、醤油や味噌、鰹節なども発酵食品ですが、ここではそのうち、「くさくておいしい」ものを見てみましょう。
日本の発酵食品といえば、まず挙げられるのが納豆。かつては西日本ではあまり食されませんでしたが、今や全国に広まり、あまりにおわないことを売り物にするものもあるほどです。ほか東日本で有名なのは、伊豆諸島のくさやが挙げられるでしょう。発酵しているのはくさや汁で魚ではありませんが、焼くと強烈なにおいを発します。しかしその干物のおいしいこと。
対して西日本では滋賀県の鮒ずしが挙げられます。これは日本最古の保存食品で、平安時代中期の延喜式にも記述があるほどです。塩漬けにした鮒をご飯に漬け込んで発酵させたもので、独特のくさみと酸っぱさがあります。酒の肴に、あるいはお茶漬けにして食べる人が多いようですが、最近は鮒じたいが減少しており、高価なものになっています。
こうした馴れずしは「鮨」ではなく「鮓」と書くことが多いですね。「旨」いけれども、より「酢」味が強いからでしょうか(「鮓」のつくり「乍」は「酢」の意)。ほかにも、秋田のしょっつるや若狭湾沿岸のへしこ、沖縄の豆腐ようなど、日本にはちょっとにおうがおいしい食品がたくさんあります。小泉武夫さんの著書のように「くさいはうまい」なのです。
(参考資料:本山荻舟『飲食事典』平凡社、小泉武夫『くさいはうまい』毎日新聞社)