先日、東京都の「青少年健全育成条例」改正をめぐって、こんな記事が毎日新聞に掲載されていました。(12月4日地域面)
東京都内のPTA団体などが3日、都青少年健全育成条例改正案の成立を求める要望書を都に提出した。石原慎太郎知事は「子供だけじゃなくて、テレビなんかにも同性愛者が平気で出るでしょ。日本は野放図になり過ぎている。使命感を持ってやります」と応じた。(後略)
http://mainichi.jp/area/tokyo/news/20101204ddlk13010267000c.html
そもそも、この「改正案」も大変に問題だらけではあるわけですが(どん・わんたろうコラム http://magazine9.jp/don/101208/ などを参照)、ここで触れたいのは石原知事の発言のほう。
ツイッターなどではかなり批判の声が上がっていたものの、その後この発言が他の新聞などで取り上げられた形跡はありません。でも、これってどう考えてもとんでもない差別発言、のはず。よくヨーロッパの政治家などが「移民排斥」を口にして問題になるけれど、それにも匹敵すると思うよ。自分が統べる自治体の有権者にも、少なからず「同性愛者」が含まれているという事実を、彼はどう受け止めるんだろうか(いや、考えてみたこともないだろうけど)。
さらに言うなら、欧米にはゲイを公言してる政治家もたくさんいるし、ノルウェーでは首相が同性婚を公表している。それらの国も「野放図になり過ぎている」と言うんでしょうか(そもそも、テレビに出てる人が同性愛者だろうが異性愛者だろうが口を出される筋合いはないわけで、そこに「野放図」なんて言葉を持ち込むこと自体、言語感覚が崩壊してますけど)。
ふと思い浮かべるだけでも、「三国人」発言、「ババア」発言、「知的障害者に人格はあるのか」発言などなど、これまでにも数えきれないほどの差別発言を繰り返してきた石原知事。国会議員の「失言」による失職は珍しくないけれど、ときにそれよりも酷いのでは? とも思える知事の発言の数々は、なぜかスルーされ続けてきました。
でも、それって子どもたちに向かって「少数者への差別や偏見は許されるんだよ」っていうメッセージを送り続けているにも等しい。そんな状況を作り出しているオトナが「いじめはいけません」だの「差別はやめよう」だの、どの面下げて言えるんだろう、とさえ思えてきます。
来年4月には都知事選。もういいかげん、こんな人を知事と呼ぶような、恥ずかしい状況は終わりにしたい。せめてまっとうな人権感覚のある人を選びたい、と強く強く思います。
...と、昨日ここまで書いていたのですが、寝て起きたらさらに続報が。12月8日の毎日新聞です。
石原都知事:同性愛者「気の毒」
東京都の石原慎太郎知事は7日、同性愛者について「どこかやっぱり足りない感じがする。遺伝とかのせいでしょう。マイノリティーで気の毒ですよ」と発言した。
(後略)
http://mainichi.jp/photo/archive/news/2010/12/07/20101208k0000m040122000c.html
...言葉を失う、ってこういうことかと思いますが、失っている場合でもありません。
都知事選特別企画「私はこの人を都知事に推薦します」もやってます。ぜひご意見をお寄せください。http://www.magazine9.jp/totiji2011/
(riyu)