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日めくり編集メモ 086

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あけましておめでとうございます。本年も小欄をよろしくお願いいたします。さて、お正月をいかがお過ごしでしょうか。返上で働いておられる方は、本当にお疲れ様です。

正月返上というと警察官、消防士など社会の安全を守る公務員がまず挙げられますが、ほかにも年賀状にかかわる郵便関係、輸送にかかわる交通関係、陸運関係の方々は以前からですね。最近だとコンビニエンスストアを筆頭に、流通・物販関係。が日くらいは休むのがかつての日本の商習慣でしたが、今や元日から初売りと称して福袋などを賑々しく売り出しています。

 

かつての江戸は職人の町。彼らは、正月に仕事をするのは普段仕事がないからだ、いや腕が悪いのだろう、ともかく碌なもんじゃないと考えていたようです。商売していいのは「お宝売り」。お宝とは宝船が描かれた絵で、そこに例えば「長き世の遠の眠りの皆目覚め波乗り船の音のよきかな」といった和歌仕立ての回文があり、これを枕の下に敷いて初夢を見るわけです。

 

ここまで極端ではなくとも、寺社仏閣の門前では初詣客の応対におおわらわで、正月こそが書き入れ時なのは現在でも変わりません。街中へ出ると、休んでいる方の多い中、いつもと同じように働いておられる方がいるからこそ、いろいろな社会システムが動いていることも実感させられます。どうぞ今年が皆さんにとってよい年でありますよう、お祈りいたします。

(参考資料:荒井修『江戸・東京 下町の歳時記』集英社新書)

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