早くも4日から仕事始め。いつまでも正月気分に浸っていられないのは仕方ないのでしょうか。しかし沖縄では、正月が何度もあるのです。中国の影響などもあるのでしょうが、旧暦を根拠にした行事が今でも生きています。
最初は普通の正月。その後、旧正月を祝います。旧暦の1月1日で、新暦でいうと今年は2月3日。まだ明けきらぬうちに、飲むと若返るという言い伝えのある若水を泉や井戸から汲み、神棚などに供えます。糸満など漁業の盛んな町や島では、係留された船に大漁旗を掲げ、酒を酌み交わして旧正月を祝います。海に生きるウミンチュ(漁師)にとっては、潮の干満と密接に関係のある旧暦のほうが体に馴染んでいるのでしょう。
次にあるのがジュウルクニチ(十六日祭)とも言われる、旧暦1月16日のグソーの正月。グソーとは後生、つまり死後の世界です。宮古・八重山や本島北部のやんばるで盛んで、お墓にお参りしたりして死者を供養します。この1年に亡くなった人がいる家では、初めてグソーの正月を迎えたということで客を招いて振る舞いをするそうです。先祖崇拝の強い沖縄ならではですが、死者と生者の正月が違うのも面白いですね。
さらにハチカソーグヮチ(二十日正月)。正月の祝い納めで、これは日本の他の地方にも残っており新暦の1月20日に行いますが、やはり沖縄では旧暦。かつて遊廓だった那覇市の辻ではジュリ(遊女)に扮した女性が商売繁盛を願って、馬型をつけた衣装で練り歩くジュリ馬行列という行事が行われます。ただ遊廓の祭りという由来もあってか、公ではなく町内会が実施しています。いくつもある正月を見ると、沖縄の民俗風習の奥深さが感じられます。
(参考資料:『沖縄コンパクト事典』琉球新報社、高橋恵子『よくわかる御願ハンドブック』ボーダーインク、株式会社かねよしホームページ「沖縄の行事」)