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日めくり編集メモ 091

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日本の漫画が隆盛なのはご存知の通りで、「MANGA」は世界的に通じる言葉になっています。それは主にストーリー漫画ですが、対してひとコマ漫画はちょっと元気がないようです。

ひとコマ漫画といって思い出すのは新聞の政治面に掲載されるものでしょう。朝日のやくみつるさん、毎日の所ゆきよしさん、読売のかわにしよしとさんなど錚々たる顔ぶれが並びます。しかし、「公正中立」に気を遣ってか風刺画というよりいわゆる「絵解き」になってしまっているものも散見されます。政治漫画に風刺性は必要不可欠なはずなのに、どうしたことでしょう。

「EYEMASK」(蒼天社)は、コミックではない、カートゥーン(ひとコマ漫画)を中心にしたちょっと珍しい漫画雑誌です。この最新号に「普天間問題と沖縄の不満を描いた政治漫画」という評論が載っています。著者はウェブサイト「新聞マンガ研究所」の岡部拓哉さん。沖縄タイムスに発表された、沖縄の怒りが表現された砂川友弘さん描く政治漫画に比べ、大手新聞でよく見る、説明のためのイラストや意味不明のコラージュは何なのか、と疑問を呈しています。

しかし、基地問題のある沖縄だから新聞漫画が発達する、とするのは本末転倒ですよね。いろいろな問題が山積しているのに、社会問題に真摯に向き合った政治漫画がなぜこんなに減ってしまったのか、真剣に考えなくてはいけないと思います。風刺性のある漫画家を使わず、自らを安全圏に置き、ひたすら既得権益を守るばかりの新聞。これは昨今の権力に擦り寄る姿勢や記者クラブ問題とも通底しているような気がしてなりません。
(参考資料:「EYEMASK」No.41 蒼天社)

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