タバコもどんどん値上がりし、いまやマイルドセブンも410円。昨年10月の値上げを機にしての禁煙も多いですが、自衛策として安い銘柄に替える人も。さらにはキセルにする人もいるようです。
キセルは刻みタバコを詰める雁首、吸い口、その間の喫道(羅宇=らう、らお)で1セット。パイプと同じく、喫道をちゃんと掃除をしないとヤニくさくなったり詰まってしまったりで美味しく吸えません。雁首と吸い口は真鍮製。つまり両端にだけカネがあるということから、途中の料金をごまかす不正乗車のことをキセルと言うわけで、今ではこの言葉の方が有名です。
日本で販売されている刻みタバコはJTの「小粋(こいき)」のみ。330円から360円と、値上がり幅が小さかったこともあり注目され、生産が追いつかないとか。とはいえ取り扱いには要注意。紙巻きタバコよりも乾燥しやすく、そうなると雁首に詰めるために丸めるのが難しくなったり、味も辛くなったりしてしまうため、しょっちゅう吸う人向けだそうです。
キセルは漢字だと煙管と書きます。語源はカンボジア語の khsier(管の意味)と言われていますが、安土桃山時代の東南アジアとの交易によって入ってきた言葉なのでしょう。今昔を見ると、キセルでタバコを吸う職人や花魁の何とも言えない情緒や風情と、値上がりによって倹約のため仕方なくキセルを使う現代人とを比べてはいけないのかもしれません。
(参考資料:加納喜光『知ってるようで知らない日本語辞典』講談社文庫、世界のたばこ・ダイショータバコショップホームページ)