小欄でも何度か取り上げたことのある沖縄・高江のヘリパッド建設問題ですが、事態が急激に悪化しています。裁判の係争中にもかかわらず沖縄防衛局(沖防)側は工事を強行し、地元住民と緊迫した状況が続いています。
昨年12月に工事を再開した沖防は1月26日、自ら起こしたSLAPP訴訟の口頭弁論で地元住民が手薄になった隙を狙い、多数の作業員を動員して強行。ちなみにこの裁判では和解勧告が裁判所から出ています。その後も工事の強行は止まらず、2月に入ってからはその勢いは増しています。なぜこんなに急ぐのか。3月からはノグチゲラの繁殖期なのでそれ以前に、ということもあるでしょうが、官僚のメンツのためだし、なにより菅政権が米国に"誠意"を見せるためなのでしょう。
北部訓練場の返還とセットだからヘリパッド建設を受け入れよ、という人もいるようです。現在訓練場には22のヘリパッドがあり、返還予定地に現在ある7つのうち、返還されずに継続して使われる場所に6つのヘリパッドを移設、すなわち新たに建設されるのです。その新たなヘリパッドは高江の集落を囲むように、すぐ近くに造られます。訓練場の面積が小さくなることで「負担軽減」に見えますが、それは地域住民への「危険の集中・接近」にほかなりません。
筆者には「棄民」という言葉が心に浮かびます。160人の小さい集落だから、都市から離れた田舎だから、見捨てられてしまうのでしょうか。「負担軽減」に沖縄県民である高江の住民は入らないのでしょうか。そして、反対・賛成以前に、この高江で起こっていることをどれだけの国民が知っているのでしょうか。報道さえされず一般国民に知られないまま、工事はどんどん進んでいきます。知ることから始めましょう。高江を孤立させてはならないのです。