歌舞伎は世襲が幅を利かせる世界です。しかし、御曹司ではない一般人の師弟ながら、子役の頃から幹部候補生として育てられる「部屋子(へやご)」という身分があり、彼らは日々精進しています。
部屋子とは、幹部俳優が見どころのある子役を預かって芸、行儀などの修業をさせ、一人前の役者として育てる「歌舞伎版英才教育システム」のこと。かつては2代目尾上松緑が、7代目松本幸四郎を父に持ちながら6代目尾上菊五郎の部屋子となったことがあるように、御曹司がほかの幹部のところに修業に出されることがあったそうです。松緑は6代目の芸風を継承し、彼の死後、菊五郎劇団を牽引し活躍したのは有名。現在の4代目松緑さんの祖父になります。
2005年、それまでも子役として活躍していた清水大希くんが2代目中村鶴松を名乗り、中村勘三郎さんの部屋子になってから、数人ではありますが増えてきました。その翌年には中村梅玉さんのところの中村梅丸くんが、さらに2009年には松本幸四郎さんのところの松本錦成くんが、それぞれ部屋子披露を行いました。3人とも小さい頃からその名演技で観客の紅涙を絞っていた名子役です。名だたる幹部俳優の眼鏡に適っただけのことはあるのでしょう。
現在最も若い部屋子は、片岡我當さんのところの
(参考資料:『かぶき手帖2011年版』日本俳優協会、歌舞伎on the web/部屋子、芸養子、御曹司、産経新聞大阪本社版2010年2月3日付「上方歌舞伎に28年ぶり"部屋子"誕生」)