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小池晃さんに聞いた「原発と東京のエネルギー政策」

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CIMG1325.JPGエネルギー自給自足の街づくり

自然エネルギー東京 by小池晃

 

 いよいよ都知事選の投票日まであと4日。昨日夕方は、渋谷ハチ公前で、東国原氏の街頭演説が行われており、マニフェストが書かれたちらしを渡された。「東京と元気にする10のお約束」として、10の項目がずらずらと書かれていたが、そこには「脱原発」や「自然エネルギー政策」という言葉は見当たらない。3月23日の公開討論会では語っていたのに、残念だ。

代わりに気になった項目がいくつか。

 

●交通・社会資本対策として「都営地下鉄・ゆりかもめなどの24時間化」→これやったら、どんだけ電気使うの?

●危機管理対策として「体感治安の向上、防犯ボランティア一万人を目指す」→他の項目にも「民生委員の増加・地域見守り隊の創設」とかあって、一瞬、良さそうな政策なんだけど行政が「危機意識を煽る」のって、すごくいやだ。うまく言えないけど、そのあたりは森達也さんの本とか読むとわかるかも。

 

 

 

 私は神奈川県民なんだけど、都知事選のことがとっても気になっている。今、現職が有利という報道があるが、石原氏が再選したら、彼がこれまで言い放ってきた「暴言」の数々は、全て東京都民の「信任を受けた」ということになる。また石原氏のまわりにいる取り巻きが、「石原さんならこういうことを望むに違いない」と、より「石原的」な政策をどんどん展開していくことも想像できる。だからどうしても再選は阻止しなくてはならない、と思うのだけど、新聞などの世論調査では石原有利。私は意外にもネット投票などで、小池晃さんが人気があることに一縷の望みをかけたい。ツイッターを使って、彼の政策を広めたい。個人的には、彼が共産党を離党しなかったことには不満だし、そこは引っかかる。だから告示前に一度、事務所に会いにいって短いインタビューを行った。

「原発と東京都のこれからのエネルギー政策」について直接聞いてみたかったからだ。その時の話をここに一部紹介する。

これを現実化するのは、議会がオール野党では難しいかもしれない。でもこういう理念をちゃんと持って、表明した人は

他の候補者にいないのだったら・・・あとはみなさんの判断。

 

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■日本がこれまで行ってきた原子力政策について


編集部:国がこれまで進めてきた原子力政策についてどう思いますか?


小池:原子力の安全神話とは決別をしなくていけません。そもそも、規制機関である原子力安全・保安院が、経産省(資源エネルギー庁)のもとにあることがおかしいのです。また経産省からは、東電に次々に天下りをしています。最近でもそういう例があります。これは癒着構造そのもの。少なくとも、チェック機構は内閣府の中にある原子力安全委員会で扱うべきことですね。原発を推進する側の中に原発の安全性についての規制機構をおくというのは、言葉は悪いが「泥棒の中に警察庁をおいてあるようなもの」。そこでチェックなどできるわけがないのです。


編集部:原発については、政治家もアンタッチャブルな官僚機構の中に、「究極の癒着構造」がそこにあって今回の事故がおこり、また対応の遅れや情報の隠蔽ということに繋がっているように思えます。その大きな問題については、また別の機会に話を伺いたいのですが、原子力発電については「再度見直して安全性を高める。そして継続していくげきだ」という議論も出ていますが。


小池:今ある原発については、まず真っ先には安全性を見直さないといけませんが、エネルギー政策については、原発頼みからはもう脱却しないといけません。私は、今回のことでみなさんもそう感じたと思うのですが、自治体がエネルギー政策を責任もってやる、そこを考えないといけない。「エネルギーの自給」を東京からやる、それを真剣に考えたいと思います。


編集部:エネルギー政策は国策と思い込んでいましたが、自治体レベルで考えていいんですね。


■自治体としてエネルギーを自給する


小池:もちろん、100%自給するというのは、これは道のりは難しい。でもちゃんと自給目標の数字を持ってやっていくことが大事です。火力発電はCO2の問題があるから、自然エネルギーや持続可能なエネルギーでの発電を考えたい。

都市部でもやれることはいろいろあるはず。のべ面積にしたらかなりの数になるビルの壁面を利用した太陽光発電とかね。風力発電も、おっきなプロペラではなくて、ビル風を利用した、小さなもので稼働させる。マイクロ水力も東京だと可能ではないかと思います。東京の水は、ダムの取水口からもってくるのですが、圧がかかるので水道に引く時は、その圧をわざわざ押さえて使っているのですが、それを利用するなど。私は東京から「エネルギー自給自足の街づくり」「自然エネルギー東京」を打ち出したいですね。


編集部:それはいいですね。


小池;あと個別の家についての太陽光発電の助成を東京都は止めているのですが、これも復活して助成制度をちゃんとまた作ってやる。太陽光発電の技術や普及については、国が後押ししてこなかったので今、ちょっと後退してドイツにも抜かれていますが、日本は高い技術を持っています。それから、自然エネルギーの発電ではたいした量をまかなえないと言う人がいますが、ドイツでは現在16%を自然エネルギーでまかなっています。そしてそのエネルギー量はどのぐらいに相当するかというと、福島の原発でいうと25基分なんです。


編集部:ドイツは福島原発の事故を受けて、はっきりと自然エネルギーへの転換を政府が明言しました。数値目標も出していますね。


小池:原発を明日から全部やめる、ということは出来ないことですが、きちんと数値目標を作って「脱原発」をしていかなければなりません。今回のことで、地震大国日本で、原発を作るのは無理だとみんな、わかったんじゃないでしょうか。


■東京からはじめる「脱原発、自然エネルギーへの転換」


小池:地方にこんなに危険な原発をを押し付けて、東京がその電気を使い続ける、こんなこと、いつまでも続けて良いわけがありません。都民にとっても東京電力に全部お任せしていたことで、震災後、生活が混乱しています。東京都は東京都としての、エネルギー行政を責任もってもやっていく事が必要なんです。今回の東電が行っている計画停電だって、あまりにも無計画なやりかたです。病院では、自家発電の準備がまにあわなくて、てんてこまい。東電は100台ぐらい電源車を持っていたのですが、全部福島原発に出してしまって。しかも原発の電源としては使えなかった。都民の暮らしを守るには行政が責任を持って行う。東電まるなげではなくてね。


編集部:自治体によるエネルギー自給、エネルギー行政、それを「脱原発と自然エネルギーでやる」そのメッセージが東京の新しい首長から明確に打ち出せたら、東京にも希望が持てそうです。


(3/22文責:水島さつき)


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