5月15日にNHK教育テレビで放映されたETV特集『ネットワークでつくる放射能汚染地図〜福島原発事故から2カ月』はたいへんな反響を巻き起こしたようです。再放送希望が殺到し、異例にもきょう深夜と28日午後の2回行うとのことです。
筆者も放送を見て衝撃を受けたひとりです。原発災害から逃れる人、とどまる人に関係なく放射線は降り注ぎます。被災地からの避難者のいる
そんな中を、岡野眞治博士(元理化学研究所)と木村真三博士(元放射線医学研究所)を中心に科学者たちがネットワークを組織し、福島県内を走り回って放射線量を計測していきます。調査研究の公表を禁じられた木村博士は職を辞し、NHKのスタッフと独自の研究を始めます。今後必要なことは、何よりもデータ。これがなくては今後の人体への影響や汚染への対策を立てることはできないのですから。それに比べて、情報を出し渋る役所には何をしているのでしょう。集会で市民側の矢面に立つ文科省や保安院の役人のふてくされた表情は忘れられません。
NHKには政治との問題や受信料の強制徴収などいろいろな問題があります。それでも、このような番組をつくり、放映することができるのはやはりNHK。この番組のディレクター七沢潔さんは『原発事故を問う』(岩波新書)などの著作もあり、継続的に原発問題を取材してきた人です。岡野さん、木村さんをはじめとする科学者と、報道機関の良心が生んだ真っ当な番組だったからこその反響なのでしょう。19日深夜(20日午前1時30分〜)に総合テレビで、28日午後3時からは教育テレビで再放送されます。見逃した方はもちろん、そうでない方もぜひご覧ください。