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日めくり編集メモ 142

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先日、とある酒場で飲んでいたところ、隣席の客の注文した酒瓶に目が行きました。「WILKINSON VODKA」。この銘柄なら「ウヰルキンソン」と、旧仮名文字を使ったちょっと変わった表記で覚えています。

明治半ばのこと、英国から日本に定住したジョン・クリフォード・ウィルキンソンが狩猟の途中、兵庫県生瀬(現西宮市)で炭酸鉱泉を発見しました。これを英国に送って調べたところ、医療用・食卓用として優良な鉱泉であると分析され、この瓶詰めの生産を考えます。1890年頃に「仁王印ウォーター」として販売を始め、1904年に正式に会社を立ち上げて、銘柄を「ウヰルキンソンタンサン」として販路を拡大します。

 

当初のこの表記ですが、ウイスキーでも、ニッカの正式社名は「ニッカウヰスキー」です。また古い看板には「ウ井スキー」としてあるものもあります。「Wi」音をどう表記するか考えた末のことなのでしょう。さてウヰルキンソンタンサンは販売契約を結んでいたアサヒビールに商標権を譲り、1989年からは表記も、アサヒが持っていた「バャリース」を「バヤリース」にしたと同時に「ウィルキンソン」と変更しました。

 

カタカナの旧仮名というのはなかなか味があってよいものですね。ただ、アサヒビールで扱うウオツカは「ウヰルキンソン」なのですが、アサヒ飲料の炭酸水は上記のとおり「ウィルキンソン」。子供までの一般が飲む炭酸水では読みやすさを優先し、大人向けであるウオツカには旧仮名を使っているのでしょうか。ちなみに今や皆が普通に使う「炭酸」の語源はこの「ウヰルキンソンタンサン」からだそうです。

(参考資料:アサヒビール「ウヰルキンソン・ウオッカ」ホームページアサヒ飲料「ウィルキンソン」ホームページ

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