去る3日の閣議は恒例によって、かりゆしウェアを着てのものでしたが、菅首相はスーツにノーネクタイ。政局の収拾に忙しく、服装に構っていられなかったようです。さて、このかりゆしウェアはアロハシャツとどう違うのでしょう。
かりゆしとは沖縄の言葉で「めでたいこと」「縁起のいいこと」を表し、漢字で書くと「嘉例吉」。「かりゆし」は登録商標で、沖縄県衣類縫製品協同組合が「沖縄県産品であること」「沖縄らしさを表現したものであること」を基準に認定を行い、認められたものには「かりゆしウェアタグ」が下げられています。現在ではビジネスシーンのほか、冠婚葬祭でも着用されるようになりました。また2005年からのクールビズ運動の一環として、中央官庁でも着用推進が図られています。
このウェアの起源は、1970年頃沖縄県観光連盟が「アロハシャツに負けない"沖縄らしいウェア"を作ろう」と考案した「沖縄シャツ」。また、1980年には県観光開発公社が「おきなわウェア」を発売しましたが、こちらも反応は今ひとつ。1990年に県が沖縄らしいウェアを推奨し、県庁内や観光業界で着用されはじめて徐々に県内に普及、名称も2000年に「かりゆしウェア」に統一されました。同年の九州・沖縄サミットで各国首脳が着用したことで全国的な定着が進みました。
沖縄の夏を快適に過ごすことはもちろん、沖縄のイメージアップを図るためにつくられたかりゆしウェア。アロハシャツとは違って、確かに柄やデザイン、素材に"沖縄らしさ"が感じられます。夏季は亜熱帯の太陽が照りつける沖縄ですが、本土の暑さもまた大変なもの。ましてや今年の夏は節電の呼びかけもあって冷房は控えめになるでしょうから、その対策としてもかりゆしウェアはたいへん有効と思われます。ネクタイ族のお堅い職業の方も、今年はいかがでしょうか。
(参考資料:沖縄県衣類縫製品協同組合「かりゆしウェアのネットショップ」、フラッグシップ沖縄「よりファッショナブルに生まれ変わる!かりゆしウエアのこれから」、株式会社イワキ「かりゆしウェアjp」)