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日めくり編集メモ 153

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歌舞伎のホームグラウンド・歌舞伎座が建て替えのため閉場してから、もう1年以上が経過します。2013年開場予定の新しい歌舞伎座について語った大谷信義松竹会長(歌舞伎座社長)へのインタビューを、先日の東京新聞から紹介します。

地下鉄東銀座駅から地上に出た歌舞伎ファンは、歌舞伎座のあった場所を尻目に、現在の歌舞伎の本拠地である新橋演舞場へ向かいます。かつての場所は、古い建物が取り壊され、クレーンばかりが目立つ殺風景さ。建設の槌音ばかりが響く界隈も往時の華やかさはなく、失ったものの大きさを感じさせます。隈研吾さん設計の新しい歌舞伎座を待ち焦がれるファンは多いですが、再開場時にどのようなものがつくられ、また周辺はどのようになるか、知りたいところです。

 

外観は元のままですが、大谷会長へのインタビューによると、まずはトイレの増設。確かに幕間の女性トイレは大行列でした。さらに、雨にぬれないよう地下鉄駅からのエントランスを設けるものの劇場と直通にはせず、1階の正面から唐破風の屋根をくぐって入ることで、非日常空間へ誘います。また、界隈の町内会とも相談し、地域に開いた江戸情緒のテーマパークを目指すとのこと。役者たちのスペースである楽屋は外光を採り入れる構造にし、数を増やすそうです。

 

歌舞伎座をSKDや三波春夫公演に充てるなど苦難の時期もありましたが、今や1年中どこかで歌舞伎芝居が上演されています。大谷会長は、例えばオーソドックスな歌舞伎は歌舞伎座と新橋演舞場、冒険的なものはシアターコクーン(渋谷)や赤坂ACTシアター、若手花形は明治座(日本橋浜町)や浅草公会堂というように特徴づけた棲み分けを考えているようです。さらには震災の被災地興行も検討中とか。新しい歌舞伎座の開場後が今から楽しみになってきました。

(参考資料:歌舞伎座ホームページ「江戸情緒豊かなウキウキ空間に」東京新聞2011619日付、「歌舞伎被災地興行も」同2011617日付)

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