マガ9editor's room

マガ9編集部発の情報やスタッフが書いたコラムを随時お届けします。

日めくり編集メモ 154

| トラックバック(0)

67年前、第32軍司令官牛島満中将の自決によって酸鼻を極めた沖縄戦の組織的戦闘が終結しました。1週間前の23日は「沖縄慰霊の日」。昨年の慰霊の日の前後3日間、琉球新報に沖縄戦を背景にした4コマ漫画が掲載されました。

琉球新報に毎日連載されている、ももココロさん作の4コマ漫画「がじゅまるファミリー」。主人公の一家は元気な小学生マンタ君(10)を中心にした家族8人です。新聞連載では異例ですが、昨年の「慰霊の日」の前後3日間、「おじぃの沖縄戦」が掲載されました。マンタ君がおじぃ(祖父)に「沖縄戦のこと覚えてる?」と聞くと、おじぃは背を向けて畑に行ってしまいます。代わりにおばぁ(祖母)がおじぃの胸中を代弁します。

沖縄戦当時13歳だったおばぁが、8歳だったおじぃと会ったのはサトウキビ畑の中。尋ねるおばぁに対しておじぃは泣くばかりで何も答えられません。見ると、その首には絞められた痕が…。集団自決(強制集団死)から逃れてきたのでしょう。この話を聞いたマンタ君は畑に行っておじぃを手伝います。最後のマンタ君の独白は「ぼくはいつも明るいおじぃが…語ることのできない苦しさを背負って生きてきたことを…初めて知った…」

筆者は新聞を持つ手が震えました。本土の日刊紙では到底考えられない内容だからこそ、衝撃を受けたのです。沖縄では表立っては語らない人も多いけど、そういう過去を当然持っている。自分の体験を語りたくても語れない人もおじぃのようにいるはず。この12コマは、その悲しさと怒りを余すところなく伝えていました。普段は楽しく爆笑を誘う「がじゅまるファミリー」だからこそ、この内容を重く、重く受け止めました。今年、これはももさんのお母様の体験が下敷きになっているとの記事が掲載されました。

(参考資料:ももココロ『がじゅまるファミリー』1-4 琉球新報社、「がじゅまるファミリー」琉球新報2010年6月22日、23日、24日付、「母から子へ「礎」の家族胸に」琉球新報2011年6月24日付)

トラックバック(0)

トラックバックURL: http://daily.magazine9.jp/mt/mt-tb.cgi/481