共同募金の赤い羽根や、国土緑化の緑の羽根は有名ですが、特に7月から8月を中心に募金が呼びかけられる「青い羽根募金」をご存知でしょうか。
青い羽根募金は、公益社団法人日本水難救済会が行っているものです。本来1年を通じてのものですが、水難事故の多い夏を「青い羽根強調運動期間」として、海に面した全都道府県にある41ヵ所の地方水難救済会と協力して全国的に運動しています。海などで遭難した人や船などを救助することは大変な危険を伴いますが、その任務に当たるボランティアの救助員(約54000人)を支え、彼らの訓練やライフジャケット、ロープなどの救助機材の購入、さらに救助船の燃料費に充てられるのです。
日本水難救済会は、古くから海の守り神として知られた金刀比羅宮の琴陵宥常(ことおか・ひろつね)宮司の発起により、1889年に香川県で発足しました。この3年前に起きたノルマントン号沈没で、白人は全員救助されたのに日本人やインド人など有色人種は全て水死。日本に不平等条約の不当性を痛感させる事故でしたが、琴陵宮司は水難救助のシステムとその組織化を考えたのです。当時の首相である黒田清隆伯爵の賛同を得、さらに発足の翌年には初代総裁に有栖川宮威仁親王を推戴しました。
1950年からは、この「青い羽根募金」が始まりました。今年はアドバイザーの阪神タイガース・城島健司選手を使ったポスターを作成し、広く募金を呼びかけています。普段の海は人々に幸を与え、人々はその恩恵にあずかるのですが、今回の震災でも思い知らされたように、いったん牙を剥くとその恐ろしさは計り知れません。「海の赤十字」ともいえる日本水難救済会の活動は、国内はもとより外国船舶からも高い評価を受けています。水難事故ゼロを目指しての彼らの活動は、常に続いています。
(参考資料:公益社団法人日本水難救済会ホームページ)