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日めくり編集メモ 162

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女子サッカー日本代表「なでしこJAPAN」FIFAワールドカップ(W杯)初優勝、おめでとうございます。アメリカにリードされても2度も追いつき、PK戦に持ち込んでの執念の勝利に感動しました。さて、この大会の準決勝試合前、差別撤廃宣言が行われていたことは意外と知られていません。

国際サッカー連盟(FIFA)では「差別撤廃キャンペーン」を行い、会場に「SAY NO TO RACISM(差別にノーと言おう)」の横断幕を掲げるなどしています。これは2000年代前半から、スペイン対イングランドの親善試合でのスペインサポーターの差別的ヤジや、カメルーン代表のエトオ選手(現インテル・ミラノ)がFCバルセロナ時代の試合中に差別語でヤジられ試合途中で退場しかけるなど人種差別が顕著になり、2006年のドイツW杯からスローガンとして採用されたものです。

その際のリリースにはこうあります。「FIFAは、かねてから人種差別問題に留意していたが、特にヨーロッパにおける最近の出来事により、断固とした拒否活動を至急、開始する必要があると判断した」。しかしその大会でも、イタリア代表マテラッティ選手に対するフランス代表ジダン選手の頭突き事件が発生してしまいます。人種、宗教、移民問題、家族などいろいろな要素が取り沙汰されましたが、差別の根絶の難しさを見せつけられるものでした。まさに「サッカーは社会の鏡」です。

FIFAもいろいろと問題のある組織ですが、オリンピックを招致しながら差別発言を繰り返すどこかの知事のようなことはしません。今や人種にとどまらず、性別、種族的出身、宗教、性的指向などあらゆる面においての差別の撤廃に向けての宣言は、たとえそれが建前だとしても、評価されるべきでしょう。W杯ではベスト8以降、キックオフ前に差別撤廃スピーチをすることになっているそうですが、今大会スウェーデン戦前の澤穂希選手のスピーチ(※)はこちらで見ることができます。

(参考資料:マガ9「今週のキイ」第12回「Say no to racism」(人種差別にノーと言おう)Tenth FIFA Anti-Discrimination Day on 13 July 2011, FIFA Media Release「日本 3-1 スウェーデン @差別撤廃スピーチ」Transnational History

※ 澤選手のスピーチ全文 「日本代表チームは、人種、性別、種族的出身、宗教、性的指向、もしくはその他のいかなる理由による差別も認めないことを宣言します。私たちはサッカーの力を使ってスポーツからそして社会の他の人々から人種差別や女性への差別を撲滅することができます。この目標に向かって突き進むことを誓い、そしてみなさまも私たちとともに差別と闘ってくださるようお願いいたします」

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