資源エネルギー庁といえば経済産業省の外局で、原発推進の総本山です。そのためにはなりふり構わずなのでしょうか、反対の論陣を張る新聞やインターネットを監視していたことが先日明らかになりました。
原子力施設立地推進調整事業のうちの「即応型情報提供事業」でこの監視がされており、民間に発注されています。ただ民間といっても、理事や役員に電力業界の幹部が並ぶような団体です。ここでこの事業の目的「新聞、雑誌などの不適切・不正確な情報への対応」が行われていました。しかし何を「不適切」とするのでしょうか。あいまいな用語では恣意的に運用されてしまい、拡大解釈を招くだけです。
ツイッターやブログで昨今のニュース、さらには原発事故関連の情報を集めている方は多いと思います。デマや誤ったものもありますが、これが淘汰されていくのもやはりインターネットの力。しかし同庁はこれも監視していくとのことで、先月24日に「原子力安全規制情報広聴・広報事業(不正確情報対応)」の入札を公告してまたもや外注。事業費は例年の数倍の約8300万円に増額されているそうです。
監視というと厳しい印象を与えるからでしょうか、モニタリングと言い換えていますが、やっていることは同じ。そもそも国民主権に則さねばならない公務員が監視されるのが当然であって、国民を監視するとは本末転倒もいいところです。ましてや「国策」に反対する言論を監視しようというのですから、たとえそれが無自覚なものであっても、彼らの特権意識のなせる業であるとしか言いようがありません。
(参考資料:「エネ庁が原発報道監視」しんぶん赤旗2011年7月14日付、「エネ庁が原発記事監視」東京新聞2011年7月23日付)