BGMや効果音を使って煽ったり、声優による再現や、宣伝なのか報道なのか判然としないテレビニュース番組の数々。NHKもご他聞に漏れず、民放ニュースショーを追いかけるかのようですが、殊に最近気になるのが「体言止め」です。
ニュース番組での体言止めの多用が目立ちます(例:「地震発生から1週間」)。助詞は言うものの述語を省いての表現もありますね(例:「さて、その訳は」)。逆に、いきなり述語のみを「つかみ」として言う場合も(例:「逆転有罪判決です」)。体言止めは和歌や俳句ではよく使われ、時々使うと文章にリズムが出て効果的といわれますが、あまりの頻出ぶりにチャンネルを替えたくなります。
NHKで特に多いのが夜9時からの「ニュースウォッチ9」。アナウンサーでなく記者がキャスターとしてニュースを読んだ「ニュースセンター9時」の流れを汲む番組ですので、正しいアナウンス技術にはそれほど興味がないのかもしれません。あるいは次に流れるニュース映像に注目してもらうことを意図しているのでしょうか。確かに、ラジオニュースではこのような表現はあまり聞きません。
それにしてもこれはいつごろから始まったのでしょう。梅津正樹アナウンサーが「ことばおじさん」として専門委員を務め、番組としても「みんなでニホンGO!」(この7月14日からは「セカイでニホンGO!」に衣替え)があるなど、日本語に関しては当然一家言あるはずのNHK。その看板ニュース番組で使われる日本語は、残念ながら映像に寄りかかったお寒いものであるようです。
(参考資料:轟里香「ニュース番組で用いられる言語の変化について」北陸大学紀要第32号=PDFファイル)