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日めくり編集メモ 178

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/~八尾よいとこ おわらの本場 二百十日を おわら出て踊る…。越中八尾(やつお=富山市八尾町)で行われる盆踊り「越中おわら風の盆」。9月1日から3日まで、哀愁を帯びた「おわら節」が八尾の町を流れます。

おわらの起源は元禄時代といわれていますが、その語源は「大笑い説」「大藁説」「小原村説」などいろいろあります。この祭りがひときわ有名になったのは高橋治さんの小説『風の盆恋歌』から。石川さゆりさんが歌う同名曲のヒットもあって全国的に有名になりました。風の盆は3日3晩夜を徹して行われ、この間、人口5000人の小さな町に20万人近くが詰め掛けます。

おわら節の特徴は、ほかの民謡ではほとんど使われない哀愁のある胡弓の音色ですが、これは1910年ごろ浄瑠璃で名を上げていた松本勘玄がこの地に来たことから。八尾に越後瞽女(ごぜ)の佐藤千代が訪れ、勘玄は胡弓に出合います。おわらの唄と三味線に胡弓を合わせようと、勘玄が日夜研究に励んだ結果、哀愁漂う独特の旋律が生み出されたということです。

地方(じかた)の囃すこのおわら節に乗って、深編笠に揃いの浴衣の女性や法被姿の男性が優美に踊り歩く様は実に幻想的です。手塩にかけた収穫前の稲を台風から守るように、豊作祈願として始まったおわらですが、いろいろな人の手を経て唄や踊りは改良され、文化的にも進化してきました。これだけの規模の割には観光化されていないことも人々を惹きつけるのでしょう。
(参考資料:越中八尾 おわら風の盆ホームページ越中八尾おわら道場ホームページ

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