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日めくり編集メモ 179

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台風12号は四国から中国地方を縦断し、日本海に抜けようとしていますが、スピードの遅さに各地で被害が出ているようです。先月の台風9号も沖縄本島に約46時間停滞し、台風慣れしているはずの沖縄県民を驚かせました。どうか被害が最小限にとどまりますよう。

ハリケーン「アイリーン」がアメリカの東海岸を北上し、ニューヨークなど各都市に甚大な被害を出したことも、つい先月下旬のことです。さらにカリブ海上で熱帯暴風雨「カティア」がハリケーンに成長したとのニュースもあります。今年は洋の東西を問わず暴風雨の当たり年なのでしょうか。それはさておき、ハリケーンと同じように台風にも名前がついていることをご存知の方は多いと思います。例えばこの台風12号は「タラス」、先述の9号は「ムイファー」といいます。

この命名は2000年からのもので、日本ほか14カ国・地域からなる「台風委員会」によります。「カスリン台風」や「キティ台風」のように、従来は米国が英語の人名をつけていましたが、この取り決めによって加盟国の提案した名前140個を順番に命名することになったのです。とはいえ、その台風が大災害をもたらした場合は、その名を以後使わないこともあるとのこと。ちなみに「タラス」はフィリピンで「鋭さ」、「ムイファー」はマカオで「梅の花」を意味することばです。

米国による命名は、台風の中に入ってその中心から機器を投下し台風観測をしていた海軍や空軍の飛行機乗りが遊び心で女性名を呼んだことから、と言われています。ここで連想したのは、台風などの気象現象に名前をつけない日本では、ニホンザル個々に命名しての個体識別と長期の観察したことでサル学が発達したこと。逆に擬人主義への警戒によって動物に命名できなかったキリスト教圏の国、殊にアメリカが気象現象であるハリケーンや台風に命名するのは、実に不思議です。

(参考資料:「台風の番号と名前」気象庁ホームページ「台風の名前」バイオウエザー:お天気豆知識杉山幸丸「サルの森にて」JT生命誌研究館サイエンティストライブラリー:特別編

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