沖縄にはちょっと普通には読めない地名がありますが、これもそのひとつでしょう。豊見城市「保栄茂」―これで「びん」と読みます。明日24日から2日間、ここで6年に1度の大豊年祭が行われます。先週行われる予定でしたが、台風の影響で延期になっていたものです。
大豊年祭は、卯年と酉年の旧暦8月15日、16日の近くに開催されます。200年以上の伝統があるとされ、若、青、壮年の男性全員が棒を手に円陣など隊形をつくる巻チ棒(まちぼう)を中心に、綱引き、弥勒(ミルク)を先頭に練り歩く道ズネーイなどいろいろな行事が行われます。巻チ棒では、タンカー棒、三人棒、五人棒などの棒術が披露され、雄(ウー)棒と雌(ミー)棒に分かれて群舞を繰り広げます。その様子は圧巻で、大空を旋回する鷹の群れに似ていることから「タカマチ」とも呼ばれているそうです。
6年に1度ということもあって、地元の皆さんの気合も違います。大豊年祭の象徴である旗頭も色鮮やかに新調されました。旗頭はその華麗さや勇壮さ、色や形を競うものですが、竿の長さは約5メートル、重さは約50キロもあり、力のある男性でないと持ち上がりません。大鼓を表す大太鼓(テーク)2旗、米を量る枡(ます、チョーバン)1旗、団扇(ウチワ)1旗は毎年の豊年祭でも登場するのですが、大豊年祭だけの、農機具のクワとヘラをかたどったカイマタとティブクの旗頭も。6年ぶりに6旗が揃うのです。
この「保栄茂」という地名、「おもろさうし」には「ほへむ」「ほゑむ」とありますが、なぜ「びん」と読むようになったにかについては不明とのこと。豊見城市は那覇市のすぐ南に位置し、近年はベッドタウンとして成長しています。高校野球ファンなら1970年代後半に沖縄代表として常連だった豊見城高校をご記憶の方もいらっしゃるでしょうが、市名は「とみぐすく」、高校名は「とみしろ」です。ベッドタウンとなっても、伝統文化豊かな沖縄・豊見城。同じく6年に1度の、同市翁長での旧十五夜祭も同じ日程で行われます。
(参考資料:広報とみぐすく2005年10月号、FMとよみホームページ、「旗頭6年ぶり新調 保栄茂の大豊年祭」沖縄タイムス2011年9月16日付、『角川日本地名大辞典47 沖縄県』角川書店)