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日めくり編集メモ 188

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『タイガーマスク』の伊達直人、『宇宙戦艦ヤマト』の古代進、『キャンディ・キャンディ』のテリー、『タイムボカン』シリーズのナレーター、『ちびまる子ちゃん』の友蔵…これらキャラクターを演じた人気声優の草分け、富山敬さんが亡くなったのは1995925日のことでした。

アニメーション人気は今や完全に定着していますが、草創期の苦労はいろいろとあったようです。中でも声優の境遇は低い状態が長く続きました。新劇出身の東野英治郎さんが、アニメのアフレコなどは芝居とは呼べないと批判したことも。『サザエさん』の波平役で有名な永井一郎さんはこうした見方に反論し、雑誌でその出演料の安さを訴えたのです。これら先人の苦労もあって次第に待遇も改善されていきました。また、アニメブームに伴って声優ブームも起こりました。

 

富山さんは1938年、満州(現中国東北部)鞍山生まれ。「敬」という芸名は、本名「邦親(くにちか)」のイニシャルKからだそうです。高校時代から児童劇団に所属し、主役を務めた最初のアニメは『佐武と市捕物控』(佐武役)。子供から老人、主役脇役、善玉悪玉、何でもござれの役柄の幅の広さを誇りました。またこの業界の誰からも慕われ、仕事優先の姿勢を貫き、少々の体調不良で休むことはありませんでした。しかし、富山さんの体は膵臓癌に蝕まれていたのです。

 

不調を訴え、自ら病院に足を運んだときには既に手遅れでした。その僅か1カ月後、56歳で亡くなったとき、周りの人は声もありませんでした。葬儀には関係者やファン約1300名が参列し、その死を悼んだのです。第1次声優ブームを支え、若くして亡くなった富山さんですが、その功績は忘れられていません。すぐれた声優に与えられる声優アワードの特別功労賞を2006年度に受賞し、その翌年度から彼の名を冠した「富山敬賞」が設けられています。

(参考資料:富山敬さんのファンサイト声優アワード公式サイト

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