明日10月1日から、東京・渋谷の「C.C.Lemonホール」は元の名前である渋谷公会堂に戻ります。渋谷区は命名権更新を希望していましたが、サントリーに更新の意思はなく、このような結果になりました。
命名権はネーミングライツともいわれ、1980年代以降米国で定着した資金調達方法です。当初はスポーツ施設の建設や運用が主でしたが、最近の日本では音楽ホールや鉄道駅、さらには歩道橋に至るまで命名権が使われています。一般に限らず、NHKを含めた報道機関がその名前で呼んでくれる広告効果を狙ってその名前をつけるのでしょう。
2003年3月、東京スタジアムと味の素との間で行われた日本初の契約は5年間で総額12億円。これによって名称は「味の素スタジアム」となりました。その後6年間の権利を14億円で購入し、2014年までの契約となっています。しかしこのような例は少なく、むしろ不況の影響で、命名権販売に応募がなく売ろうにも売れないケースも出ています。
権利者がどんどん代わり、名前が定着しないものもあります。神戸総合運動公園野球場は、「Yahoo!BBスタジアム」から「スカイマークスタジアム」となり、今は「ほっともっとフィールド神戸」。これでは元の名前の方がよほど呼びやすいでしょう。何よりこの命名権というもの自体、どうにもさもしい気がしてしまうのは筆者だけでしょうか。
(参考資料:大阪府ホームページ/歩道橋ネーミングライツ事業パートナー企業募集、『現代用語の基礎知識2011』自由国民社)